人は見た目が9割 格好いい人を信じてしまう脳のバイアス―米デューク大が調査




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格好いい人を信じてしまう脳のバイアス―米デューク大が調査


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美女コンテストでは、簡単な質問に対しとんでもない失敗をしでかしたり、とっぴな意見を述べたり、まとまりのない話を長々としたりする出場者が決まって登場する。パナマからの出場者が、孔子(Confucios)は「儒学」ではなく「混乱(Confusion)」の哲学を造り出したと思っていたとか、ミス・サウスカロライナ・ティーンUSAが、米国民が地理に疎いのはあまりに多くの人が地図を買うお金がないせいだと説明したりとか。


[image] Peter Oumanski

 ばかばかしいことだ。だが、もっとばかばかしいのは、我々は脳のバイアスから格好いいというだけで、そういう人を信じがちだということである。ドイツの詩人フリードリヒ・シラーは「肉体美は内面の美、精神的な美、道徳的な美の現れである」と説いた。シラーの肖像画を見れば、彼の主張は奇妙に思えるのだが。

 政治の世界では、我々は見た目のいい人を信じ、投票しがちだ。同様に、見た目のいい人を雇用する傾向もある。1970〜90年代にかけて行われた数多くの研究調査によれば、裁判では見た目のいい人の方が有罪とならず、有罪となっても平均よりも刑期は短くなっているという。

 なぜそうなるのか。見た目のいい人や善良で正直な人と会うのは楽しいので、我々は無意識のうちに、見た目の良さを善良さや正直さと結びつけるのでは、という見方もある。だが、気持ちの良い体験が一緒になるというこの説はあやしい。要するに、例えて言えば奴隷解放運動の勝利についての本を読む楽しみと、泡風呂に入ったりお菓子を食べたりする楽しみを混同させる人はほとんどいない。

 そうではなく、脳の各部位は複数の作業をすることが多いので、隠喩的なものと言葉通りのものを混同するようなのだ。例えば、脳の同じ領域で肉体的、感情的な痛みと、他人の痛みを感じることの両方が処理される。




 デューク大学の月浦崇、ロベルト・カベザの両氏が行った調査では、容姿についても同じことが起きることが分かった。脳の内側眼窩前頭皮質が顔の美しさと善行を評価する。つまり、心と頬骨の美しさについて考えるとき、脳の動きは似ているのだ。



 この調査結果には勇気づけられないが、良い側面もある。脳の混同は両方の方向に向かうからだ。すなわち、「美しいことは良いことだ」という考えを産み出す同じ神経系は、「良いことは美しい」という考えをもたらす。

 カナダのウェスタンオンタリオ大学で行われた異性愛者を対象にした調査では、異性の写真を、その人物の知性や独立志向、正直さのレベルについての説明と共に見せると、独立志向や知性の度合はその人物を魅力的と感じるかどうかには影響がなかったが、正直さのレベルが高いとされた人物については魅力的だという判断が高まった。

 結局、物事は均らされていくようだ。地球は平らだと美人コンテストの優勝者が言えば信じやすくなる一方で、マザー・テレサやガンジーの善行も美しいと感じやすいからだ。










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